お知らせ
2025.06.16

【しがライターReport】「田んぼで魚が産卵したよ」いのちのゆりかごだね

「魚のゆりかご水田でナマズが産卵してたよ」と聞きました。
かつての田んぼは、山から川に天からの恵みである水が流れ里に届き琵琶湖を潤しました。琵琶湖から魚たちが田んぼを目ざします。湖魚が産卵し命を育みました。
圃場整備が進んだ田んぼは魚の通り道が閉ざされました。そこで魚道を設置し、かつての琵琶湖周辺でごく当たり前に見られた景観を復活させる取り組みが始まりました。
「せせらぎの郷(さと)」は野洲市須原で自然再生に取り組む地域団体です。安全安心なお米を皆さまにお届けし、生き物と人が共生できる農業・農村の創造が17年の年月を経ました。http://seseraginosato.net/
そして今年も、ナマズの産卵が見られました。フナやコイも来てくれるかな?
世界農業遺産に認定された”琵琶湖システム”です。

「田植えにきたよ」田んぼオーナーのファミリーたち

  1. 毎年恒例の田植えイベント
  2. 家族で田植え
  3. 水車で水路から水を引き込みます

魚のゆりかご水田では、田んぼオーナ制があります。オーナーになると魚道づくり、田植え体験、魚の観察会、稲刈り体験が無料(6人まで)で参加でき、新米の魚のゆりかご水田米が30㎏(玄米)保証されます。
5月は田植えです。オーナーの皆さんは苗を手に田んぼに入ります。
「きゃー」「どろどろ」子どもたちは、まるで泥遊び。元気な声を聞きながら、オーナーファミリーは苗を植えていきます。活気あふれる田植え風景です。
「初めてだけど楽しかった。来年も植えたい」と笑顔が溢れます。
田に水を引き込む水車も活躍し、水車こぎも体験できます。
田植えが終われば、魚のゆりかご水田米おにぎりが待っています。間違いなく美味しい。
魚のゆりかご水田米のコシヒカリを100%使用した純米吟醸「月夜のゆりかご」を喜多酒造さんが醸造し販売しています。
お米は私たちの暮らしに欠かすことができない主食です。お米を醸造した日本酒は、祭礼のお供物として感謝を込めていただきます。農と信仰の絆がお酒です。

「漁業と農業が織りなす琵琶湖システムです」世界農業遺産

  1. 水路に遡上してきたニゴロブナ
  2. 観察会での琵琶湖博物館学芸員による魚達の説明
  3. 琵琶湖と共生するかつての風景

令和4年魚のゆりかご水田を含む琵琶湖と共生する滋賀の農林水産業が「世界農業遺産」に認定されました。
森・里・湖に育まれる漁業と農業が織りなす未来につながる”琵琶湖システム”です。
湖魚が産卵にやってくる水田を作り、平安時代に和歌に詠まれた「待ちの漁法」エリ漁を受け継ぎ、琵琶湖の環境に配慮した農業を続け、水源林を保全し、フナズシなどの伝統的食文化と祭礼を承継することを目指しています。
田植え体験もその一環です。泥だらけになって楽しむことが琵琶湖システムの狙いでもあるのです。

「今年は15組のオーナーさんです」藤岡いづみさん

  1. 田植えイベントでの藤岡さん
  2. 稲刈りイベント
  3. ゆりかご水田で収穫したお米とビワマス等のごちそう

須原川のゆりかご水田オーナーは、お米づくりや農業に関心がある人、魚のゆりかご水田(生物保全)活動を支援いただける人に1区画100㎡(30,000円)で参加できます。
「今年は15組の方に参加していただきました。この事業は昨年まで代表を務めていた父が中心となり、17年間続いてきましたが、今年は須原魚のゆりかご水田協議会も世代交代しました(13名で平均年齢63才と7才若返り)。仕組みも変更し体験日を日曜日にしました。前日準備を考慮したからです。水車の設置や各イベントの準備など体力が必要な場面がありますが、皆さんの笑顔に力をいただいています。6月は生き物観察会、9月は稲刈り体験です」(藤岡いづみさん)
6月は視察や学校体験授業などが目白押しだとか。

「魚のゆりかご水田せせらぎの郷の映像が流れています」2025大阪・関西万博の関西パビリオン滋賀エリア

  1. 水路を遡上する魚
  2. 生き物観察会には多くの方が参加

せせらぎの郷の風景が、2025大阪・関西万博(舞洲)の関西パビリオン滋賀エリアで見られます。
コンピュータ制御された小さな球体のオブジェが印象的な館内の映像の中で20秒余りですが、魚達の遡上や生き物観察会の様子が登場します。
「いのち輝く関西悠久の歴史と現在」をテーマに滋賀、京都。奈良、和歌山、鳥取、徳島、福井。三重の独自展示エリアで歴史や文化、観光など関西広域の多彩な魅力が見られます。どんな風景かな?

#2025年日本国際博覧会
#せせらぎの郷
#藤岡いづみ
#野洲市須原

レポーター紹介

文/辻村琴美・文化コーディネーター

1956年大阪市生まれ。野洲市在住。(特非)コミュニティ・アーキテクト近江環人ネットワーク理事長。
写真家の辻村耕司の妻。職業は編集者。一男一女を授かり夫の実家旧中主(ちゅうず)町にて三世代同居。
環境倫理雑誌M・O・H(もう)通信編集長を務めた。好きな言葉は「信頼と優愛」
目標は”びわ湖から世界に羽ばたくバタフライエフェクト”を創ること。

写真/辻村耕司・滋賀を旅する写真家

1957年滋賀県生まれ。野洲市在住、(公益財団法人)日本写真家協会(JPS)会員。
1990年に滋賀にUターン後『湖国再発見』をテーマに琵琶湖周辺の風景や祭礼などを撮影。

\ 記事をシェアしよう /
X LINE ニュースを共有

関連リンク

【しがライターReport】琵琶湖の漂流ガラスで国スポ「おもてなしオブジェ」県内各地で展示
お知らせ
2025.06.09

【しがライターReport】琵琶湖の漂流ガラスで国スポ「おもてなしオブジェ」県内各地で展示

びわ湖のアユ漁獲量が過去最低
お知らせ
2025.06.06

びわ湖のアユ漁獲量が過去最低

ページ内トップへ