お知らせ
2025.11.11

【しがライターReport】長浜産の食材で心も体も健やかに「近江せいろ蒸し料理 青リンゴ木庵」

長浜市を流れる米川(よねがわ)は、市街地を静かに流れる一級河川です。上流は長浜市川崎町付近に源を発し、市の中心部を南北に貫いて琵琶湖へと注ぎます。流路延長は約3.7kmと短いながらも、古くから長浜の町並みとともに人々の暮らしを潤してきました。
川沿いには石垣や柳の木が続き、春には桜が咲き誇る美しい景観が見られます。また、地域住民による清掃活動や護岸整備が行われ、まちのシンボルとして大切に守られています。ビワマスの遡上を促す活動や、子どもたちの遊びの場づくりの取り組みも盛んです。
さらに、2025年10月にノーベル生理学・医学賞を受賞した日本を代表する免疫学者・坂口志文氏の出身地(旧びわ町)としても注目を集めています。
そんな長浜市の商店街・元浜町ゆう壱番街に、11月1日、新しい食の提案拠点「近江せいろ蒸し料理 青リンゴ木庵(あおりんごもくあん)」がオープンしました。
青リンゴ木庵は、“お米と発酵”をテーマに、長浜の豊かな食材を生かした「近江せいろ蒸し御膳」や、米粉を使ったスイーツを提供する古民家レストランです。
オーナーは長浜市生まれの藤野佐知子さん、看板娘は7歳の明日美さんです。
町なかの落ち着いた町並みに佇む隠れ家のような雰囲気で、観光客にも地元の方にも親しまれるお店を目指しています。

「座布団の埃をとって並べています」看板娘の明日美さん(7歳)

  1. 青リンゴ木庵店頭
  2. 『私を笑顔にするキッチン』著作
  3. 藤野明日美さん(左)・佐知子さん(右)

「せいろ蒸し」という調理法は、竹のせいろから立ち上る湯気とともに、食材の旨味を逃さずじっくりと蒸し上げるのが魅力です。蒸し料理は油をほとんど使わず、食材そのものの味や食感を楽しめるのが特徴。
地元産のお米や野菜、自家製麹などを組み合わせ、体に優しい薬膳の考え方も取り入れられています。
今後は塩麹などの「発酵調味料づくり」や「料理教室」といった体験企画も予定されており、“食べる・学ぶ・つながる”をテーマにしたお店の展開が期待されます。
藤野さんは調理師専門学校を卒業後、外食コンサルタントとして東京・大阪を中心に15年以上飲食業界で活躍。
Uターン後、病気をきっかけに2022年に地元のお米を使った商品製造・販売を行う株式会社おへその森を創業しました。米粉パスタを中心とした商品販売や、米粉と麹を使った料理教室、講師活動なども行っています。詳しくは著作『私を笑顔にするキッチン』(スタブロブックス)をご覧ください。
藤野さんはこう語ります。
「近江せいろ青リンゴ木庵は、“お米と発酵”をテーマにしたせいろ蒸し料理のお店です。古民家をリノベーションして、中庭のある落ち着いた空間にしました。ここまで長かったけれど、ようやくスタート地点に立てました。お近くに来られたら、ふらっと寄ってもらえると嬉しいです。」
看板娘の明日美さんも笑顔で話してくれました。
「ママが忙しくしていますけど、私はこのお店が好きです。せいろがたくさん並んでいて楽しい。座布団の埃を払って並べたり、プレートのお皿を揃えたりお手伝いしています。」
“おへその森”や“青リンゴ木庵”という名前の由来も気になりますね。

食べて学んで、食事の楽しさを共有できる場に

  1. 藤野家の野菜たち
  2. 各種せいろ
  3. 小さなせいろにどんな素材が入るかなお楽しみ

商店街の中にあり、気軽に立ち寄れる立地ながらも、落ち着いた空間でゆったりとランチやカフェタイムを楽しめます。
蒸し料理なのでヘルシー志向の方や、素材の味を大切にした食を好む方には特におすすめ。長浜産の食材を使っており、“地産地消”や“発酵”といったキーワードにも関心のある方にとって話題性の高いお店です。
健康・発酵・地元食材に興味がある方のグループでの訪問も大歓迎。料理教室や発酵体験など、“学び”の場も開催予定とのことです。
藤野さんは今後について、こう語ります。
「まずは美味しい素材を味わってください。そして食べることに加えて、農家さんと親しむ体験をしたり、地域食材に触れてほしいです。環境問題や自然保護にも取り組むお店として、循環型社会に貢献したいです。」
“青リンゴ”は、みずみずしく成熟しきっていない「成長途上」を意味します。
一方、“おへその森”は、命をつなぐ「おへそ」と、食の源である「森」を組み合わせた名前です。初めに作った米粉パスタはトルテッリー二というイタリアの水餃子で、由来が“ビーナスのおへそ”からきているのも関係しているとか。
ママを支える明日美さんを見ていると、親子で食育を実践している姿が印象的でした。

長浜の風情を感じながら、ゆったりと過ごせる空間

  1. 築100年の古民家
  2. お近くに来られたらお寄りください
  3. 商店街を流れる米川

曳山博物館から北へ約100m、築100年の長屋の一軒です。奥の座敷は12畳あり、庭(比良山麓から運ばれた守山石があります)越しに土蔵が見えます。
テイクアウトや物販にも対応予定で、店内飲食だけでなく“お持ち帰り”“お土産”としても利用できます。長浜観光の合間に、商店街を散策しながら立ち寄るランチやカフェ利用にもぴったり。
地元の方の“ランチミーティング”や“女子会”、軽めのディナーにもおすすめです。
近くを流れる米川をそぞろ歩けば、長浜の風情がより一層感じられます。

〈店舗情報〉
近江せいろ蒸し料理 青リンゴ木庵(あおりんごもくあん)
〒526-0059 滋賀県長浜市元浜町21-33
営業時間:ランチ 11:00〜14:00/カフェ 〜16:00/ディナー 17:00〜21:00(予約制)
定休日:月・火曜日
運営:株式会社おへその森(代表取締役:藤野佐知子)

Instagram:@aoringomokuan
#青リンゴ木庵 #長浜ランチ #せいろ蒸し #おこめと発酵 #長浜カフェ #古民家リノベ #滋賀カフェ #長浜市

レポーター紹介

文/辻村琴美(ライター・文化コーディネーター)

1956年大阪市生まれ。滋賀県野洲市在住。特定非営利活動法人コミュニティ・アーキテクト近江環人ネットワーク理事長。写真家・辻村耕司の妻。職業は編集者。一男一女を授かり、夫の実家である滋賀県旧中主(ちゅうず)町にて三世代同居。環境倫理雑誌『M・O・H(もう)通信』(2003~2016)編集長を務める。好きな言葉は「信頼と優愛」。目標は“びわ湖からつながりのバタフライエフェクト”を創ること。特徴は夫を「ダーリン」と呼ぶこと。現在は夫と猫の六兵衛の3人家族。

写真/辻村耕司(滋賀を旅する写真家)

1957年滋賀県生まれ。野洲市在住。公益財団法人日本写真家協会(JPS)会員。
1990年に滋賀へUターン後、『湖国再発見』をテーマに琵琶湖周辺の風

\ 記事をシェアしよう /
X LINE ニュースを共有

関連リンク

【しがライターReport】湖上クルーズで琵琶湖を学び、近江八景を味わうツアー
お知らせ
2025.10.27

【しがライターReport】湖上クルーズで琵琶湖を学び、近江八景を味わうツアー

【しがライターReport】辻田新也さんの琵琶湖写真展、県内各地を巡回中!知っているようで知らない琵琶湖「UNKNOWN LAKE 琵琶湖」
お知らせ
2025.10.14

【しがライターReport】辻田新也さんの琵琶湖写真展、県内各地を巡回中!知っているようで知らない琵琶湖「UNKNOWN LAKE 琵琶湖」

ページ内トップへ