ゴールデンウィーク終盤、滋賀県でも各地で祭りや催しが行われました。お祭りなどでは「神饌」という神様に感謝するためのご馳走が献上されますが、滋賀では全国でもめずらしく、魚を米や塩などで発酵させた”なれずし”が登場することがあります。
その代表的なお祭りが毎年5月5日に守山市・下新川神社(しもにいかわじんじゃ)で行われる「すし切りまつり」です。滋賀県の特産品で「ふなずし」が主役のユニークなお祭りで、“近江の奇祭”とも呼ばれています。
崇神天皇の第一皇子である豊城入彦命(とよきいりひこのみこと)が、湖賊の平定に向かう際にこの地で休憩した時、村人たちがふなの塩漬けを焼いて献上したところ大層喜ばれたという故事が起源とされています。
祭り最大の見どころはなんといっても、裃すがたの若者2人が古式にのっとり「ふなずし」を切って神前に供えるという珍しい神事。包丁と、真魚箸(まなばし)という魚を料理するときに使う鉄製の箸を両手に持ち、まな板に載せられたふなずしを一切ふれることなく切り分けます。所作をピタリと合わせ、すべて無言で行ないます。村の平安のため、周囲の目とプレッシャーに耐えながら若い2人が大役をこなしていきます・・・!
介添え役はすし切り役を務めたことのある「板直し」と呼ばれる先輩2人で、かいがいしく汗を拭いたりする姿に観客からも笑いがこぼれます。各家の成人した長男が行うことになっており、古いしきたりが色濃く残っているとされています。