ナマズ水槽破損の大打撃から一歩ずつ再建への歩みを進めている琵琶湖博物館。6月25日、「よみがえれ!日本の淡水魚」などの水槽6基の展示を再開しました。
琵琶湖博物館の学芸員さんや飼育員さんが展示に込めた思いについてもご紹介します。
2023年2月にビワコオオナマズを展示していた大型水槽が破損。全ての水槽を点検したところ、トンネル水槽や「よみがえれ!日本の淡水魚」コーナーの水槽などにもクラック(小さなひび割れ)が見つかり、魚を移動させて水を抜き、アクリル板の交換を行いました。
4月23日にトンネル水槽と「よみがえれ!日本の淡水魚」コーナーの水槽8基のうち4基の展示を再開。6月25日に残り4基の展示を再開したことで、「よみがえれ!日本の淡水魚」コーナーは完全復活しました!
その名の通り、絶滅の危機にひんしている淡水魚を展示している「よみがえれ!日本の淡水魚」コーナー。今回のアクリル板の交換に合わせて、それぞれの魚の生息地に近くなるようにレイアウトを変更しました。
おススメはアオバラヨシノボリ!
吸盤状のハラビレでアクリル板に張り付いているのですが、普段は岩や木に張り付いているので、ツルツルのアクリル板では張り付いてもスーっと滑り落ちて行く!それでもアクリル板に張り付くアオバラヨシノボリ!何とも言えない愛嬌があります。
アオバラヨシノボリは、沖縄本島北部の河川上流にのみに生息しています。新しい水槽は、岩がゴロゴロとしていて滝がある生息地に近い環境になりました。
学芸員の田畑諒一さんは「今までの水槽は白っぽい壁で魚の色も分かりにくく、素通りする人が多かったのですが、レイアウトを変えて展示を始めたところ、一つ一つ丁寧に見てもらえるようになりました。『水槽がおしゃれになった』と写真を撮影する人も。魚をよく見てもらうことで、『かわいい、面白い』と感じて淡水魚保護に関心を持ってもらえたら」と期待します。
ブラックバスやコクチバスなど外来種の水槽展示も再開しました。琵琶湖博物館では「連れてこられた生き物たち」として展示しています。田畑さんは「外来種はそれぞれがかわいくて興味深い魚なのに、人が放流したせいで『外来種』と呼ばれ、生態系に影響を与えて悪者になりました」と話します。
「ヴィクトリア湖水槽」も展示を再開。真っ黒のヴィクトリア湖水槽で飼育しているのはナイルパーチ1匹のみ。隣にある色とりどりの魚が泳ぐ「マラウイ湖水槽」とは対照的です。かつて、ヴィクトリア湖は約400種の固有種が生息し、研究者たちに「ダーウィンの箱庭」と呼ばれるほど多様な生物が生息していましたが、外来種のナイルパーチを放流したところ、ナイルパーチが固有種を捕食してしまって半分の約200種の固有種が絶滅しました。
ヴィクトリア湖水槽がナイルパーチだけを展示しているのは、この「ヴィクトリア湖の悲劇」を表現するためです。
外来種と呼ばれるのは、人間が勝手に連れてきて放流したから。琵琶湖博物館の展示を見て、今一度、外来種について考えてみませんか?
琵琶湖博物館でまだ展示を再開していないのは、設計からやり直しているビワコオオナマズ水槽、コアユ水槽、ふれあい水槽の3基です。全水槽の再開に向け、琵琶湖博物館は一歩ずつ前進しています。
草津市下物町1091
TEL::077-568-4811
開館時間:9時30分 ~17時(最終入館 16時)
休館日:毎週月曜日(7月15日・22日・8月5日・12日・19日は開館)
入館料:大人=800円、高校生・大学生=450円、中学生以下無料。
「ピースマム」や「じゆうじかん」などで滋賀の地域情報を発信しています。
県内各地の情報に精通しているスタッフが、知られざる滋賀の魅力やイベント情報を深堀りしてお届けします♪