花瓶や食器、アクセサリーなど薄緑色の美しさに魅了される「琵琶湖彩(びわこいろ)ガラス」。
その美しい色は、なんと琵琶湖の水草で色付けしています。
琵琶湖彩ガラスを作るガラス作家glass imeca(グラス イメカ)の神永朱美さんにお話をうかがいました。
琵琶湖の水草は酸素の供給や水質浄化、魚類の産卵場、生息地としての役割などを果たしていますが、1994年の渇水が原因で増加し始め、大量繁茂が問題となっています。
滋賀県が年間5000~6000トンの水草を刈り取り、堆肥にしていますが、水草は含水率が98%で、乾燥して自然発酵し、堆肥にするのに3年かかります。
この水草を短時間で肥料にしようと、大津市のWEF技術開発が活性酸素を使い、瞬時に分解、粉末化することに成功しました。
肥料としても活躍しているこの水草の粉末が、ガラスの色付けにも使われています。
神永さんは「ご縁があって大津市にガラス工房を構えました。地域のものを使って色ガラスを作ろうと考え、地域で余っているものを探しました。水草が手に入らないかと思っていたときに、WEFさんにたどり着きました」と、水草に出合ったきっかけを話します。
ガラスの色付けには鉱物が使われています。
乾燥した水草は茶色ですが、灰にしてガラスに溶かすと、水草の中の鉄分が緑色に発色します。
2019年から研究を始め、色、硬さなど試行錯誤して薄緑色のガラスに。
2020年2月に「琵琶湖彩ガラス」として発表しました。
神永さんは「住んでいる瀬田川の近くの琵琶湖の色は緑色なので、この色こそ琵琶湖の色だと思いました」と話します。
ガラスの器には水泡が入っていて、本当に琵琶湖の中のようで、思わず飛び込みたくなります。
「水泡があると光を反射して、ロマンを感じます」と神永さん。
水泡の入り方や形など、同じものはふたつとありません。
神永さんは「今年の秋からはまた研究に取り組んで、今度はもっと青い色を出したいです」と話します。
湖南の色、湖西の色、湖北の色、同じ琵琶湖の色でも、少しずつ違います。
あなたにとっての「琵琶湖いろ」が見つかるかもしれませんね。
新しい「琵琶湖彩ガラス」も楽しみです。
「琵琶湖彩ガラス」作品は「Galleryてとて」のオンラインショップのほか、黒壁2號館 黒壁ガラススタジオ、琵琶湖博物館ミュージアムショップ「おいでや」などで購入できます。
企画展の開催予定はこちら
7月9日(金)~18日(日) DONGREE BOOKS & SOTRY CAFE(滋賀県湖南市石部西1-5-7)
7月21日(水)~27日(火) JR名古屋タカシマヤ
【glass imecaホームページ】
【「Galleryてとて」オンラインショップ】
子育て応援マガジン「ピースマム」をはじめとするフリーペーパーを手掛けるなど、滋賀県のことを知り尽くす「有限会社ウエスト」さんとコラボレーション!
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