琵琶湖のアユには、春になって川に上り上流で大きくなるものと、川に上らず琵琶湖の中で生活してあまり大きくならないものとがいます。
広い琵琶湖で育った方が大きくなりそうなものなのに、どうしてなのでしょうか?
琵琶湖で生息するアユは、夏の終わりから秋にかけて川へ遡上し産卵を始め、これに少し遅れて川の上流で生活していたアユが下流に下って産卵を始めます。
産卵は夜に行われ、一尾のメスに数尾のオスが寄り添い、川底の砂や小石に卵を産み付けます。
産卵を終えた親アユは死んでしまいます。
産み付けられた卵は2週間ほどでふ化し、生まれた稚アユは琵琶湖へ下り生活します。
その後、春になり川へ遡上し20cmほどに大きくなるアユと、琵琶湖の中で生息したまま大きくならない10㎝ほどのコアユに分かれます。
琵琶湖の鮎が大きくならないのは、餌に関係があると言われています。
川で生活するアユは石についた藻を食べて大きく成長しますが、琵琶湖にはアユの餌となる藻類が少なく、若いアユたちは動物性のプランクトンを食べているそうです。
アユが河川で大きくなることは、大正2年に東京大学の石川教授によって多摩川に放流され、初めて確認されました。
これ以後、大正13年からは「アユ苗」として、全国の河川に放流されるようになりました。
ちなみに近江商人を象徴する言葉に、「琵琶湖の鮎は外に出て大きくなる」というものがあります。
琵琶湖を離れ川で大きく成長するアユと同じく、滋賀の人間も外へ出ることで成長する、という意味で使われます。
大きいアユは塩焼きや甘露煮にするととっても食べ応えがありますが、小さいコアユも、佃煮や天ぷら、から揚げにといろいろな料理ができて、どちらも最高に美味しいですよね!