滋賀の伝統食といえば「ふなずし」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
滋賀にはふなずしはもちろん、地域ごとに特色のある伝統食があります。
現在、琵琶湖博物館では滋賀の伝統食や食文化を紹介する企画展「湖国の食事(くいじ)」が開催されています。
「くいじ」は昔の滋賀の言葉で、「食事」を表す言葉です。
「くいじはすんだか?」という問いかけは、「まだ食べていなかったらうちで食べてください」という心遣いを含んでいたそうです。
「湖国の食事」の会場に入ると、懐かしい台所。実際に使われていた台所をそのまま展示しています。
後ろには、庭の畑の写真。庭に野菜畑のある滋賀の台所は、本当の地産地消だったことが分かります。
琵琶湖の周りには、日野菜漬け、泥亀汁、丁稚ようかん、くるみごぼう、サバそうめん…滋賀県内各地の伝統的な料理が紹介されています。
滋賀に住んでいても知らなかったものがたくさんあります。
壁一面に展示されているのは、川島朱実さんが撮影した「湖国の行事を彩る食事(くいじ)」。
お祭りやオコナイ(五穀豊穣を願う伝統行事)の時に食べる食事風景です。
一枚一枚が別の地域の祭りの写真で、滋賀県内にこんなにもたくさんのお祭りがあることに驚きます。
こんなふうに皆が集まって食事する、そんな風景が早く戻って来ることを願います。
滋賀では、フナだけでなく、ワタカ、オイカワ、ハス、ビワマスなども飯(いい)と一緒に漬け込み、なれずしにしてきました。
長浜市の南浜で作られている「ビワマスのこけらずし」はとてもおいしいそうです。一度食べてみたいです。
滋賀の食事文化研究会が30年かけて研究してきた滋賀県各地の食文化も展示してあります。
湖北では雪深い冬の食材を確保するために、保存食やなれずしが発展したそうです。
奥永源寺、安土、野洲、甲賀、伊香立、志賀、朽木地域についても個性ある食文化が展示されています。
秋に産卵期を迎えたビワマスは雨が降った後に琵琶湖から川へ遡上してきます。
野洲、高島、尾上などでは、そのビワマスをおいしく食べるために、炊き込みご飯にした「アメノイオご飯」が食べられていたそうです。
現在は、ビワマスが川へ遡上する時期は禁漁期間になっているので、他の時期のビワマスを使って炊き込みご飯にしています。
食事文化研究会初代会長で、滋賀大学名誉教授の堀越昌子さんは「食材を守ることは、地域の食文化を守ること」と話します。
滋賀の食事文化研究会は、フナ、スジエビ、日野菜、水口かんぴょうなどの滋賀の伝統的な食材を現代風にアレンジしたレシピの開発もしています。
ベトナムロールやグラタン、ゼリーやパエリアなどにすることで、次の世代にも滋賀の伝統的な食材を伝えたいとのことです。
「湖国の食事」は、伝統的な料理や食材、各地方の独特の食文化など滋賀の食について学べる企画展です。
昔の食卓を思い出して懐かしんだり、子どもと一緒に滋賀の食文化を学んだり、湖国の食事に触れてみませんか?
「湖国の食事」は11月21日まで。来館の際はホームページからの予約が必要です。
開館時間:10:00~16:30(最終入館 16時00分)
休館日:月曜(8月9日・16日・23日、9月20日は開館)
入館料:大人=800円、大学生・高校生=450円、中学生以下無料
「湖国の食事」企画展示観覧料:大人=300円、大学生・高校生=240円、中学・小学生=150円
【琵琶湖博物館】
住所: 滋賀県草津市下物町1091
TEL: 077-568-4811
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