2020年に大河ドラマの主役となることが決定した「明智光秀」。明智光秀ゆかりの地が数多く存在する滋賀県内でも盛り上がりを見せています。
滋賀県のお城といえば彦根城や長浜城、安土城などが有名ですが、明智光秀が築城した”幻の城”があるのをご存知でしょうか?坂本の琵琶湖畔に築かれた水城「坂本城」です。
元亀2年、比叡山の焼き討ち後、織田信長は明智光秀に滋賀郡を与え、坂本城を築かせました。城内に琵琶湖の水を引き入れた水城で、大天守と小天守を持ち、「その結構壮美なるには眼を驚かす」と絶賛されるほど豪壮な姿だったと言われています。当時、宣教師として来日していたルイス・フロイスは、著書の「日本史」の中で、「坂本城は信長の安土城に次ぐ第二と名城だ」と讃えています。
本能寺の変の後、山崎の戦いで破れた光秀は、坂本へと落ち延びる途上で落ち武者狩りの手にかかり自刃しました。その後、重臣の秀満が坂本城に籠もりますが、豊臣秀吉の大軍に包囲され、自ら城に火を放ち、光秀の妻子を刺し殺し自害。坂本城は落城しました。
残念ながら坂本城は現在見るべき遺構がほとんど残っておらず、坂本城の本丸跡とされる東南寺の前に建つ「坂本城跡の碑」がひっそりと建つのみです。琵琶湖の渇水時にのみ、湖中に残る坂本城の石垣が現れ、当時の面影を覗かせます。戦国時代の幻の城跡が、今もひっそりと琵琶湖の底に眠っている。なんだかロマンですよね。
写真提供:(公社)びわこビジターズビューロー
アクセス:「坂本城の碑」「坂本城址公園」ともに京阪「松ノ馬場駅」から徒歩約25分