紫式部を主人公にした大河ドラマが人気を集めています。
紫式部は石山寺に参籠し、琵琶湖に映る月を見ながら源氏物語の構想を考えたとか。
滋賀県には紫式部にちなんだ歌碑があります。
紫式部は長徳2年(996)夏、父藤原為時の越前国(福井県)赴任に帯同し京の都から琵琶湖に向かい船に乗ったようです。
湖上から見た近江の景色が彼女の和歌集『紫式部集』にあります。
野洲の菖蒲(あやめ)浜と高島の白鬚神社境内に歌碑として見ることができます。
歌碑の前に立つと不思議なことに琵琶湖に漂う船に紫式部の姿が垣間見えるようです。
紫式部の和歌を琵琶湖に訪ねましょう。
石山寺は聖武天皇の勅願により天平十九年東大寺の良弁(ろうべん)僧正によって創建されました。
西国三十三所観音霊場十三番の札所です。
最古にして最美と評される国宝の多宝塔は鐘楼、東大門と共に源頼朝の寄進であると伝わります。
境内には天然記念物に指定される巨大な硅灰石(けいかいせき)があり、これが石山寺の名の由縁です。
本堂は崖の上に長い柱で建物を支える懸(かけ)造りという建築様式で、内陣は平安時代、外陣は慶長年間淀殿の修補となります。
本尊の如意輪観世菩薩は勅封秘仏であり、三十三年に一度御開扉されます。
紫式部が琵琶湖に映る月を見て「源氏物語」を書き始めた場所と伝わる源氏の間が残ります。
源氏の間には紫式部と侍女の姿が見られます。これはクラウドファンデングで新調された御所人形です。
みなさんのご厚意の賜物で、紫式部とのつながりを石山寺信仰とともに大事にしているんだなあ。
石山寺から見える月は近江八景の一つ「石山秋月(いしやましゅうげつ)」として名高いです。
石山寺の門前では講談師の旭堂南風さんが紫式部にちなんだ講談を聴かせてくれます。
題して「紫式部と月と源氏物語600席を目指してー源氏物語紫式部ゆかりの花の寺で紫式部を語る」です。
一年間で600席の講談を語る講談マラソン、お時間の許す限りお耳を拝借ぱぱんぱんぱん!と軽妙に一席語ってくれます。
むらさきの夢を辿りてここにつく講釈語り人つなぐ道、が南風さんの心構え。
お帰りの際はお志をいただければありがたや。
石山寺を後にすると、瀬田川・琵琶湖リバークルーズ乗り場があります(要予約)。
紫式部が揺られた琵琶湖でクルーズを楽しむのも一興ですね。
『老津島を守る神がいさめてくれたのだろうか。童べの浦という名前だけれども、湖面が波立たずに静かだ』
琵琶湖に「おいつ島」という岬(州崎)がある。その近くに「わらはべの浦」という入江が(入海)があるというのが面白いので、ふと思いついて口ずさんだ歌。
湖岸道路菖蒲浜の道標”紫式部歌碑”のほど近くにあります。
砂浜には石の護岸堤が琵琶湖の海に伸びています。
海に向かって歩くと湖面が近くて漣(さざなみ)が聞こえて静かです。
紫式部もこんなふうに聞き耳を立てたのかしら?童べの浦という名前だから童(子ども)のようなざわめきを期待したのかしら?とか妄想が広がります。
視界180度が琵琶湖です。船上にいる気分です。紫式部の気持ちに近づけるかも・・・。
『三尾の湖岸で網を引く漁師が、手を休める暇も無く、忙しく立ち振舞っている様子を見ると、都が恋しくなってくる』
近江の海にて、三尾(みお)が崎という所で、漁師が網を引くのを見て詠んだ歌。
白鬚神社は、湖面の鳥居が美しく滋賀県を代表する風景です。
山に向かうと、歌碑と本殿、鳥居と琵琶湖が見渡せて絶景です。
港の賑わいに都を懐かしむ紫式部が愛おしいですね。
白鬚神社は近江最古の神社といわれ、御祭神は猿田彦命(さるたのひこのみこと)です。
謡曲「白鬚」(観阿弥作)にも謡われています。白髪で白い鬚を蓄えた老人の姿で御社名の由来とか。
鳥居を見るために車道を横切ると危険ですよお。展望台ができました。
眺望は抜群ですので安全にお楽しみください。
平安時代と景色は変わっているでしょうが、和歌に詠む気持ちは変わらないかもしれません。
あなたも琵琶湖の和歌を詠んでみませんか?
※参考文献/ 1時間でわかる紫式部と近江(京樂真帆子)サンライズ出版
※引用/石山寺案内板、紫式部歌碑、白鬚神社案内板
#海と日本プロジェクトin滋賀県
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#コミュニティアーキテクト辻村琴美
1956年大阪市生まれ。野洲市在住。(特非)コミュニテイ・アーキテクト近江環人ネットワーク理事長。
写真家の辻村耕司の妻。職業は編集者。一男一女を授かり夫の実家旧中主(ちゅうず)町にて三世代同居。
環境倫理雑誌M・O・Hもう通信編集長を務めた。好きな言葉は「信頼と優愛」。目標は“びわ湖から世界に羽ばたくバタフライエフェクト”を創ること。
1957年滋賀県生まれ。野洲市在住、(公益財団法人)日本写真家協会(JPS)会員。
1990年に滋賀にUターン後『湖国再発見』をテーマに琵琶湖周辺の風景や祭礼などを撮影。