いつの間にか日も短くなり、朝晩の涼しさに秋の訪れを感じる季節になりました。山々が美しくなるこの時期、琵琶湖の源流のひとつ「愛知川水系」が流れる東近江市の”奥永源寺地域”をゆっくり散策してみるのはいかがでしょうか?
奥永源寺は日本の原風景が色濃く残る山村で、この地域では今なお、遠く深い谷底から引き込まれた共同水道が生活に利用されています。豊かな水源は良質な樹木を育て、ろくろを使って盆や椀などを作った木地師の発祥の地となりました。木地師の手により生み出された木地生産は、やがて全国に広がりました。
ご覧の通り、澄んだ清流は美しいエメラルドグリーン!岩魚やヤマメなどが生息し、渓流釣りやキャンプ、登山など、四季を通じてレジャーが楽しめます。
旅の休憩には「道の駅 奥永源寺渓流の里」が便利。平成27年10月10日にオープンしたこの道の駅は、なんと平成15年に閉校した旧政所中学校の校舎を再利用しているんです!見どころは12の水槽が並ぶ「森の中の小さな水族館」。愛知川の源流に棲む岩魚やヤマメなどの渓流魚や、琵琶湖に棲むフナやモロコなどに出会えます。ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
豊かな自然が広がる奥永源寺地域は、これから紅葉シーズンを向かえ、さらに美しい姿を見せてくれます。なかでも臨済宗永源寺派の大本山「永源寺」は、愛知川の深い水で育てられた紅葉の名所として有名です。ここではかつて、渓谷から流れる清流の音を禅の修行にいかしたといわれています。境内には「洗耳水(せんじすい)」という水があり、人々は、耳の俗界のアカを洗い流してから寺に向かいます。まさに、この地域の人々が、美しい琵琶湖の源流と共生し、水文化を育んでこられたことがわかりますね。秋の週末は、静かな渓谷の流れに耳をすませて、ゆったり過ごしてみてください。