琵琶湖岸に咲く700株のバラ。秋のバラが見頃を迎えています。
湖西浄化センターバラ園は、下水道処理施設に作られたバラ園です。
琵琶湖をきれいにするために必要な下水処理場。なぜ下水道処理場にバラ園が?
その関係を調べてみました。
湖西浄化センターは下水道処理場として1984(昭和59)年に建設されました。
11万㎡の敷地には下水処理施設があり、大津市の北西部約11万人の下水を処理しています。
琵琶湖の富栄養化を防止するため、原因となるチッソとリンの除去を目的とした高度処理を全国に先駆けて行い、琵琶湖の水質保全をしています。
1985(昭和60)年に下水を浄化する過程で発生した汚泥を発酵させた堆肥の効果を確認するためにバラの栽培を始めました。
現在は80種約700株のバラを栽培し、5月と10月に一般公開をしています。
湖西浄化センターでの下水汚泥の堆肥の実験の終了とともに、長年堆肥の使用をやめていましたが、2023年から高島浄化センターで「下水汚泥のコンポスト化」を開始することから、昨年度から試験的に製造した下水道リサイクル堆肥(コンポスト)を使って栽培試験などを実施しています。
下水をきれいにする過程で沈殿などにより取り除かれた下水中の有機物が泥状になった下水汚泥。
下水汚泥は肥料原料としての価値が高く、汚泥から生産された肥料は純国産肥料として貴重な資源となります。
下水汚泥に空気を吹き込みながら定期的な切り返しを行い、好気性微生物の活動を活性化させて、汚泥を分解安定化する好気性発酵によりコンポストを製造します。
こうして出来上がったコンポストは、肥料成分が多く含まれ、発酵により汚泥の臭気も減少します。
コンポストの効果を確認するために湖西浄化センターのバラ園で使用しています。
実際に栽培を担当しているシルバー人材センターのスタッフからは、「高島のコンポストを使い始めてからバラの芽吹きが良くなった」との報告があるそうです。
ほかにも、浄化センターの処理水を水やりに使い、汚泥を高温で焼き固めた溶融スラグを砂利として使っています。
湖西浄化センターのバラ園の一般公開は、2020年春と2021年春は新型コロナウイルス感染予防のために中止となりましたが、今年の秋の公開は無事に迎えることができました。
下水処理施設の奥、琵琶湖に面したところにバラ園があります。
枝がつる状に延びる「つるばら」で作られたアーチを抜けると、ラビーニアやニコルなどのかわいいバラが来場者を出迎えます。
真っ赤なイングリッドバーグマン、鮮やかなピンクのマヌウメイアン、背丈よりも高く伸び、青空に映えるピニャータ(ふれ太鼓)、美智子上皇后が皇太子妃時代にイギリスのディクソン社から贈られた花として知られているプリンセスミチコなどが美しく咲き誇ります。
バラの後ろに見えるのは琵琶湖。
琵琶湖の水質を守るために作られた下水処理場で咲く美しいバラ。
普段目にすることがない下水道が地域の資源循環に関わり、私たちの生活を支えていることを知ることができます。
バラ公開の期間中の土日(10月30日・31日)には、下水道施設の見学会も実施されます。
この機会に、下水道について学んでみるのもいいですね。
【湖西浄化センターバラ(秋季)一般公開】
公開日:2021年10月20日(水)~10月31日(日) (土曜・日曜も開園)
時間:9時00分~16時30分
場所:大津市苗鹿三丁目1̶1 滋賀県湖西浄化センター
電話:077-579-4611
※県道558号線(旧国道161号線)交差点「苗鹿三丁目南」を琵琶湖側へ入ってすぐ
※場内の飲食とペットの連れ込みは禁止です
【下水道施設見学会】
10月30日・31日
午前の部 10:30~11:15
午後の部 14:00~14:45
子育て応援マガジン「ピースマム」をはじめとするフリーペーパーを手掛けるなど、滋賀県のことを知り尽くす「有限会社ウエスト」さんとコラボレーション!
”しがライターReport”として、週に1度、とっておきの情報を紹介していただきます♪