体の斑点が一列に並び、尾は縦じま模様。体長6~8センチほどの小さなドジョウ、タンゴスジシマドジョウは、京都府丹後地域の1河川のみに生息する珍しい魚です。現在、琵琶湖博物館で飼育展示中です。
タンゴスジシマドジョウの生息が確認されているのは1河川の狭い範囲のみ。環境省のレッドリストカテゴリーで最も絶滅のリスクが高いとされる「絶滅危惧IA類」に指定され、国内希少野生動植物にも指定されており、捕獲や飼育などは原則禁止されています。
琵琶湖博物館では、2023年に近畿大学と2023年5月に閉館した丹後魚っ知館(うおっちかん)から譲り受けたタンゴスジシマドジョウを展示しています。
現在飼育展示しているのは京都水族館(京都市下京区)と琵琶湖博物館のみ。幼魚の展示は琵琶湖博物館のみです。
タンゴスジシマドジョウは、以前は「シマドジョウ」として分類されていました。2010年に近畿大学農学部の北川忠生准教授の研究チームが丹後地方の河川から発見。スジシマドジョウ4倍体性集団丹後型として報告されていましたが、2016年に新種「タンゴスジシマドジョウ」として記載されました。現在もほかの河川では見つかっていません。
琵琶湖博物館学芸員の田畑諒一さんは「別の種だと分かったことで保全ができるようになりました」と話します。
丹後地方にある丹後魚っ知館が繁殖に取り組んでいましたが、閉館したことからタンゴスジシマドジョウが行き先を失いました。淡水魚の飼育、繁殖の実績がある琵琶湖博物館が引き取り、絶滅危惧種の生息域外保全に取り組むことになりました。6月から人工繁殖に取り組む予定です。
タンゴスジシマドジョウ絶滅の危険性を低くするため、ほかの水族館にもタンゴスジシマドジョウを飼育してもらえるように働きかけ、生息域外保全する水族館を増やすことにも取り組んでいます。
田畑さんは「丹後の地元の人でさえタンゴスジシマドジョウの存在を知っているか分からない」と危惧します。
「展示することで、まずは知ってもらい、身近な所にも絶滅の危機にひんしている魚がいるということに目を向けてもらえれば」と話します。
「よみがえれ!日本の淡水魚コーナー」でのトピック展示は9月1日までですが、終了後も常設展示する予定です。
草津市下物町1091
TEL::077-568-4811
開館時間:9時30分~17時(最終入館 16時)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は開館)
入館料:大人=800円、高校生・大学生=450円、中学生以下無料。
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