「食卓から未来のうみを守り隊2~お寿司で海を考える~」1日目

2022-6-29
海と日本PROJECT  in 滋賀県

「食卓から未来のうみを守り隊」サポートリーダーの河野宏彰です。
6月18日(土)「食卓から未来のうみを守り隊2~お寿司で海を考える~」の1日目が開催されました。
このイベントは、海のない滋賀県の人々が、海を身近に感じ、海の恩恵を受けていると最も実感できる「食卓」から思いをはせて、3日間の調査で「未来のうみを守るために」自分たちにできることを考える環境学習イベントです。

参加者は、滋賀県各地から集まった小学5年生20名。全員違う小学校からの参加で、この日が初対面です。
開会式で、1人ひとりの名前が呼ばれ「未来のうみを守り隊」に任命されました。

 

「魚のゆりかご水田」で生き物調査!

今年のテーマは、子ども達が大好きな「お寿司」。
1日目は、お寿司にかかせないシャリ=米の部分に焦点をあて、野州市須原にある「魚のゆりかご水田」で生き物調査をさせて頂きました。

昔、フナやナマズといった魚は、田んぼで産卵・ふ化し、稚魚は水田のプランクトンを食べて成長し、琵琶湖へと巣立っていきました。琵琶湖の魚たちにとって、田んぼは「ゆりかご」のような存在だったのです。
「魚のゆりかご水田」では、産卵期を迎えた琵琶湖の魚たちが、昔のように田んぼに上ってこられるようにと、農家さんたちが魚道を作るなどされています。

守り隊は、田んぼから琵琶湖につながる水路に移動。
タモ網を入れると…フナなどの稚魚がたくさんすくえました。
コイやナマズなどの大物をすくいあげる隊員も!みんな時間を忘れるほど水路の生き物採取に没頭していました。
大きな生き物は水槽に移して、琵琶湖博物館の金尾学芸員が詳しく解説してくださいました。
カエルや水生昆虫、プランクトンなども観察でき、田んぼには、様々な生き物がくらしていることがわかりました。

 

魚のゆりかご水田米と琵琶湖の恵みをいただきます!

生き物調査の後はコミュニティセンターへ移動し、待ちに待ったお弁当です!
メインは、魚のゆりかご水田で育ったお米でつくった「塩おにぎり」。ごはんがモチモチしていて、とっても美味しかったです。
おかずには、琵琶湖の恵みがぎっしり!うろり生姜煮、イサザ南蛮、エビ豆、八幡こんにゃく、ふなずし飯入り唐揚げ。
うろりは、琵琶湖固有種のビワヨシノボリの赤ちゃん。イサザも、琵琶湖固有種です。
「これは、どんな風に作られたのかな?」と意識しながら食べることで、農家さんや漁師さんを応援することにつながることを知ってもらえたらうれしいです。
食べ慣れない食材もありましたが、みんなで仲良く、おいしく食べることができました!

 

滋賀県の「環境にやさしい農業」と農家さんたちの思い

午後からは、じっくりお話を聞きました。
まずは、東京にある滋賀県情報発信拠点「ここ滋賀」所長の青田さんに、滋賀県の「環境にやさしい農業」や「琵琶湖システム」について教えて頂きました。
「琵琶湖システム」とは、伝統的な琵琶湖漁業の「エリ漁」や、「魚のゆりかご水田」や「環境にやさしい農業」、水源の山々やヨシ帯の保全など、琵琶湖と共生する農業や漁業の仕組みのことです。
2019年に日本農業遺産に認定され、現在は世界農業遺産への認定を目指しています。
この「琵琶湖システム」を通して、森・里・湖のつながりを考えました。

続いて、「魚のゆりかご水田」に取組まれているせせらぎの郷の会長・堀さんからお話をお聞きしました。
昔、須原では、田舟にのって田んぼに行き、水路で魚をとって夕飯のおかずにしていたそうです。
堀さんたちは、「もう一度琵琶湖と人々の関係を取り戻し、子ども達につなげたい!」という思いで、魚のゆりかご水田の取組をはじめられたそうです。
さらに、せせらぎの郷では、平成27年度から無肥料、無農薬のお米作りもスタートされたということで、守り隊からは「どんな苦労がありますか?」などの質問が出ました。
堀さんからは「草が生えないように除草管理をするのが大変だ」と教えて頂きました。
環境にやさしい農業には、農家さんたちのたくさんの工夫と苦労があるのだと知りました。

 

鮒ずし実食!

最後に、滋賀県のお寿司といえば…「鮒ずし」!ということで、滋賀県の郷土料理の「鮒ずし」について学びました。
守り隊のみんなに鮒ずしを食べたことがあるか、聞いてみると…誰も食べたことがないという結果に。
そこで、1人1切れずつ、実際に食べてみました。
初めて食べる味に、みんなは恐々ですが、興味津々!
子ども達からは、「すっぱい」とか「ヨーグルトと味噌を混ぜたような味がする」など、様々な感想が聞かれました。

食べた後は、琵琶湖博物館の学芸員・橋本さんから、鮒ずしの歴史や作り方などについて教えて頂きました。
滋賀県には琵琶湖があるので、おいしい鮒がとれ、米作りもさかん。さらに森林も豊かなので、鮒ずしをつけるための木桶も手に入りやすい土地柄でした。
そして、鮒ずしに欠かせない塩は、福井県や三重県の海から運ばれてきていたそうです。
郷土料理をひもとくと、その土地の地形や気候などの特徴がよくわかります。

鮒ずしは、近年、原料であるニゴロブナの漁獲量の減少などもあり高価になってきています。
漁獲量減少の原因は、魚の産卵場所の減少や外来魚問題など。この40年で10分の1以下にまで減少しましたが、今は「魚のゆりかご水田」などの取り組みによって、少しずつ回復してきているそうです。
みんなが大人になって、鮒ずしがおいしいと感じられる頃になっても、鮒ずしが食べ続けられる環境を守っていきたいですね。

最後は、琵琶湖博物館の学芸員・大塚さんから、1日を振り返りながら農業と琵琶湖のつながりについてお話頂き、1日目が終了しました。

守り隊のみんなは、次回7月22日にいよいよ海にいきます!
琵琶湖の水が流れ込む大阪湾の漁港で、生き物観察やセリの見学を予定しています。
大阪湾にはどんな生き物がいるかな?お寿司のネタになりそうな魚と出会えるのでしょうか?お楽しみに!

「食卓から未来のうみを守り隊2」1日目の様子は、7月6日(水) 夕方5時55分~の5分間、びわ湖放送でご紹介します。是非ご覧ください。

 

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