「食卓から未来のうみを守り隊3~郷土料理で海を考える~」の1日目が、6月11日(日)に開催されました。
このイベントは、うみ(海・びわ湖)を身近に感じることができる「食卓」から思いをはせて、3日間の調査で「未来のうみを守るために」自分達にできることを考える環境学習イベントです。今回は野洲市の菖蒲港からのスタートです。
野洲市のあやめ荘で行われた開会式では、小学5年生20人を【未来のうみを守り隊】に任命しました。全員、滋賀県内の違う小学校から公募で集まった子どもたちは。きょうを合わせた3日間の調査活動をみんなで頑張ります。
今年のテーマは「郷土料理」。郷土料理でうみと人とのかかわりを考えます。
郷土料理に使われている魚はどうやって取るのかな?
エリ漁という、琵琶湖周辺の水田やヨシ帯などの湖魚の生態を巧みに利用した、水産資源にやさしい伝統的な漁法があるということで、菖蒲港の漁師・松沢松治さんにご協力いただき、船に乗って見学に行きました。
エリ漁とは、湖岸から沖合に向かって矢印型に網を張り、魚の習性をうまく利用して「つぼ」と呼ばれる部分に誘導し、閉じこめて漁獲する漁業です。全長800メートルあり、多い時は1日で800kgの魚が獲れます。
アユやフナが獲れるこの漁は、魚を獲り過ぎない持続可能な漁だと言われています。琵琶湖と優しく付き合いながら魚を取ることができることを学びました。
あやめ荘に戻ってからは、滋賀県水産課の三枝仁さんから琵琶湖のお魚についてじっくりお話を聞きました。
琵琶湖には、琵琶湖を海の代わりとして成長する鮭の仲間“ビワマス”や鮒ずしの“ニゴロブナ”などの魚がいます。しかし、琵琶湖のお魚を食べてしまう外来魚が以前より増えてしまっていることが現状です。
琵琶湖の魚を増やすため、ホンモロコなどの稚魚の放流や、田んぼで魚を育ててから放流する仕組みもあるそうです。また、ヨシを育てて魚が卵を産める場所を増やす方法もなどもあります。
魚が住みやすい琵琶湖を守るために、漁師さんは魚を取ること以外にも、ゴミ拾いや、環境に異常がないかの確認、船を出して稚魚を放流するなど、琵琶湖の見張り人としての役割もしてくれています。そんな漁師さんたちがこれからも頑張れるように、みんなで琵琶湖の魚を食べて応援しましょう。
おなかもペコペコ。待ちにまったお昼ご飯です。鮒ずし、湖魚の天ぷら、シジミの味噌汁、えび豆など、琵琶湖の恵みのメニューにまつわるエピソードを聞きながらいただきます!
さらに、鯖寿司と鯖そうめんも!みんなで「海なし県の滋賀県になぜ鯖を使った郷土料理があるのか」考えながら食べてみました。
琵琶湖は昔、海から京都へ続く水の道としてとても重要な役割を担っていたので、滋賀県は、海がなくても海産物が手に入りやすい土地柄にあったといえます。鯖は傷むのが早いので、塩をふるか、焼いてから各地に運ばれていたことから、「鯖そうめん」に使われる鯖は「焼き鯖」なんですね!
海で取れる食材が滋賀県に住んでいる私たちの食にも深い関わりがありますね。
食べ慣れない食材もありましたが、みんなで仲良く、おいしく食べることができました!
午後からは、東近江市の栗見出在家の「魚のゆりかご水田」で生き物調査をさせていただきました。
魚のゆりかご水田は、田んぼの排水路に魚道を設けることにより、琵琶湖から産卵のためにフナやコイなどが田んぼにあがることができるようにするものです。
守り隊は、田んぼから琵琶湖につながる水路に移動し、調査開始!
網を入れると、ヤマトゴイ、ギンブナ、スジエビ、ナマズなど、たくさんすくえました!
生き物を水槽に移し、琵琶湖博物館の大塚学芸員に詳しく解説していただきました。
東近江市の栗見出在家町の「魚のゆりかご水田」では、稚魚の生存率を上げ、生態系の回復にも良いことを学びました。
最後に大塚さんから、一日を振り返りながら、琵琶湖の魚と私たちとのつながりについてお話しいただき1日目の調査が終了しました。
守り隊のみんなは、次回7月21日にいよいよ福井にいきます。
鯖の養殖の見学や、福井の郷土料理を調べ滋賀と海のつながりについて考えます。お楽しみに!
「食卓から未来のうみを守り隊3」1日目の様子は、7月6日(木) 、7月7日(金)の夕方6時10分~から、びわ湖放送でご紹介します。是非ご覧ください。