お知らせ
2023.12.18

【しがライターReport】氷魚をご存じですか?琵琶湖博物館で氷魚展示中!

氷魚をご存知ですか?氷の魚と書いて「ヒウオ」。鮎の仔稚魚で、氷のように透き通っていることから、氷魚と呼ばれています。現在、琵琶湖博物館で展示中です。(写真提供:琵琶湖博物館)

 

「氷魚」は琵琶湖だけの呼び名

  1. 写真提供:琵琶湖博物館

琵琶湖博物館の水族展示室トンネル水槽の手前で展示されている体長4センチほどの無色半透明な「氷魚」。大津市北部で水揚げされた約100グラム(数百匹)の氷魚が水槽の中で元気よく泳ぐ姿を見ることができます。

実は、「氷魚」は滋賀県固有の呼び名です。
鮎は秋に川で産卵し、琵琶湖や海に出て行くのですが、大きな海では鮎の仔稚魚を採捕することができず、海では生態についての研究が最近まで進んでいなかったそうです。

「ここまでわかったアユの本」(高橋勇夫、東健作)の中に、「川魚としてのアユの生態についての研究(遡上期から産卵・流下期まで)は枚挙に暇がないが、海での生態(子の時期)については、1980年ころまでほとんどわかっていなかった」と書かれています。

滋賀県では昔から鮎が琵琶湖内に陸封されており、仔稚魚の漁獲が可能であったため、氷魚という名前が付けられ親しまれてきました。

 

琵琶湖の冬の風物詩「氷魚」

  1. 写真提供:琵琶湖博物館
  2. 写真提供:琵琶湖博物館

氷魚は琵琶湖の冬を告げる風物詩として12月から水揚げされます。イワシの仔稚魚のシラスのように釜揚げにして食べられることが多く、かき揚げや佃煮などでも食されます。

琵琶湖博物館では氷魚を展示するために高島市の漁港から仕入れる予定でしたが、12月1日に網に5匹しかかかっておらず、大津市北部の漁港に譲り受けました。

氷魚は琵琶湖の伝統漁法「エリ漁」により捕獲されます。琵琶湖の中に矢印型に網を設置し、魚を行き止まりに誘導して捕まえるエリ漁。琵琶湖の水位が低くなっている今年はエリ漁を操業できる場所が減っているそうです。

琵琶湖では、鮎の漁獲量がこの20年間で3分の1まで減少しています。滋賀県は姉川と安曇川に鮎の産卵場を人工的に造り、親魚を放流するなど鮎を増やす取り組みをしています。

 

氷魚の展示は12月24日まで

  1. 写真提供:琵琶湖博物館

氷魚と呼ばれる期間は1、2カ月ほどで成長して鮎になります。氷魚の透き通った姿を見られるのは今だけです。海では捕獲が難しいことから、氷魚の生体展示は全国でも珍しいとのこと。

琵琶湖博物館学芸員の菅原巧太朗さんは「来館した人の中には『氷魚って何?』と言っている人も多くいて、滋賀県の人にもあまり知られていないのだと思いました。氷魚はこの時期だけしか展示できないので、琵琶湖博物館で見てもらえれば」と呼びかけます。

氷魚の水槽の中には、一緒に捕獲されたスジエビ、ワカサギ、ビワヨシノボリも混じっています。一緒に泳ぐワカサギを探してみても楽しいですよ。
ビワヨシノボリは難易度が高めです。

琵琶湖博物館での氷魚の展示は12月24日まで。
魚の状態によっては中止する場合あり。

琵琶湖博物館
草津市下物町1091
TEL::077-568-4811
開館時間:9時30分~17時(最終入館 16時)
休館日:毎週月曜日(祝日の場合は開館)
入館料:大人=800円、高校生・大学生=450円、中学生以下無料。

 

レポーター紹介

有限会社ウエスト

「ピースマム」や「じゆうじかん」などで滋賀の地域情報を発信しています。
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