【しがライターReport】こけら寿司~ビワマスに魅せられて~

2023-12-8
海と日本PROJECT  in 滋賀県

米どころであり郷土料理の鮒ずしなどの発酵文化が根付く滋賀県。長浜市の〈湖(うみ)のスコーレ〉には、醸造家・発酵アドバイザー〝話せる発酵屋ハッピー太郎〟こと池島幸太郎氏が主宰する〈ハッピー太郎醸造所〉があります。地元産のお米やさまざまな菌を使い分けてつくる糀(こうじ)やどぶろく、甘酒、味噌が料理研究家をはじめ健康に関心の高い人に愛用されています。SNSを見ていたダーリン「”お正月に食べよう!長浜南浜に伝わるビワマスのこけら寿司を作る会”をハッピー太郎醸造所が湖のスコーレ体験教室で開催するよ。本邦初WSだよ!」と珍しくウキウキしています。
ビワマスはサケ目サケ科に属する淡水魚で琵琶湖にのみ生息する固有亜種です。産卵期には大雨の日に群れをなして河川を遡上することからアメノイオ(雨の魚)とも呼ばれ成長すると体長40~50cmほどで、”琵琶湖の宝石”と言われています。

 

こけら寿司の作り方→知らぜらる長浜発祥の郷土料理

  1. 婚姻色が出ているビワマスの塩漬け
  2. 小さい柵状に削ぎます
  3. こけら寿司が入ったお弁当

こけら寿司はビワマスのなれずしです。“こけら”とは「①木材を切ったときにでる木片の杮(こけら)に似ている ②北陸では“杮ずし”と書いてこけらずしと読みます。柿の実に似ているという説もあるそうです」と講師の堀江さんが教えてくれました。堀江さん謹製のビワマスの塩漬けをつまむと良い塩加減。「お茶漬けで食べたい!」という衝動を抑えました。
今日の講師は堀江昌史まさみさん(丘峰喫茶店・能美舎)、特別協力 Tsunaguの川瀬順子さん、野本育恵さん、糀(こうじ)はハッピー太郎醸造所謹製です。
〈材料〉樽5号(消毒済み)、塩漬けビワマス 500g(塩漬け前は1kg)、ごはん5~6合(冷ましたもの)、しょうが100g、糀0.5合、酢または酒(手水)適量
〈作り方〉1.前日に塩漬けマスを洗っておく。2.しょうがを千切りにする。3.ビワマスを削ぎ切り(約3cm)にする。4.樽の底にご飯を敷き詰めビワマスを並べてしょうがと糀を散らす。5.ごはんを重ねて4の作業を繰り返す。6.重石を5kg乗せる。

 

「市場に流通させにくいと聞いた魚、買います、漬けます」「つなぎます」

  1. 材料を分割します
  2. ごはん→ビワマス→ショウガ→糀の順に積みます
  3. 樽を密閉して重石をして待ちます

堀江さんは記者時代に滋賀県北部の豊かな自然環境に魅せられて、長浜市木之本町に移住しました。「最初にこけら寿司の漬け方を習ったのは滋賀県立大学名誉教授の堀越昌子先生です。琵琶湖の湖魚が好きすぎて漁師の中村清作さんから市場に流通させにくいと聞いた魚を買取り、堀越先生になれずし(魚と飯で発酵)やへしこ(魚と糠で発酵)の漬け方を習って始めました。塩漬け糠漬け味噌漬け糀漬けとチャレンジするうちに、お店のメニューにもなれずしやへしこといった魚の発酵食が増えていき、今では東京など首都圏にも売りに行くようになりました。出版社の能美舎を始めたのは2016年、飲食店の丘峰喫茶店を始めたのは2017年、アユのなれずしを始めたのは2018年です」と楽しそうに話す姿に参加者もほっこり。
これはSDGs(資源を守り無駄にしない)に合致しています。
特別協力のTunaguの川瀬順子さんは、湖北の郷土料理研究会の堀越昌子さんたちや地元の先輩方を「レジェンド」と仰ぐ後継者です。「私たちがレジェンドから郷土料理と湖北の庶民文化を教わり若い世代につなぎたい」とあたたかな心意気が嬉しいのです。これもSDGs(文化を継承)ですねえ。

 

「淡水魚大好き」男子も福岡と姫路から参加

  1. 慣れない手つき
  2. ショウガを千切り
  3. 講師の堀江さん

淡水魚大好き青年男子が参加しています。名古屋からシロヒレタビラ(大好きな魚)さん、福岡からひらいさん。「僕たちは幼馴染なんです。淡水魚が好きで網を使ったりしていました。今回の体験教室はネットで知りました。ビワマスの姿を求めて二人で北上しています。今日はビワマスのこけら寿司を教わりたくて参加しました。参加者の皆さんの発酵大好きなお話も聞けてよかったです、樽を開けるのが楽しみ」。
琵琶湖の水は大阪湾から瀬戸内海にも注ぎます。水の流れは人の流れでもあるかのような出会いでした。キラキラした二人の瞳を見ていると、琵琶湖のルビーとも言われるビワマスの魅力は進化しているんだと嬉しくなりました。
我が家の樽は縁側に置いています時々覗くのも楽しいもんです。いい具合にこけら寿司の樽は醸し出しました。お正月は参加者15名のこけら寿司が食卓を飾るでしょう。どんな味わいになるかしら?寿しは寿ぐ(ことほぐ)と書きます。我が家のこけら寿司を囲んで寿ぎましょう。皆様のご多幸を願って、良いお年をお迎えください。

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#滋賀のカメラマン辻村耕司

 

レポーター紹介

文/辻村琴美・文化コーディネーター
1956年大阪市生まれ。野洲市在住。(特非)コミュニテイ・アーキテクト近江環人ネットワーク理事長。
写真家の辻村耕司の妻。職業は編集者。一男一女を授かり夫の実家旧中主(ちゅうず)町にて三世代同居。
環境倫理雑誌M・O・Hもう通信編集長を務めた。好きな言葉は「信頼と優愛」。目標は“びわ湖から世界に羽ばたくバタフライエフェクト”を創ること。
写真/辻村耕司
1957年滋賀県生まれ、日本写真家協会(JPS)会員。
大学から大阪で暮らし1990年にUターン。
1993年から写真撮影を生業とする、滋賀を旅する写真家。
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