2024年令和6年の幕開けは能登半島地震と飛行機事故というショッキングな出来事でした。被災された皆様にお見舞い申しあげます。一日も早い日常を取り戻していただけるようにお祈りいたします。
災害に強い暮らしを求めるとき身近な自然を知ることが大事です。私の住んでいる野洲市は三上山があり山間部に蓄えられた雨は野洲川や家棟川等に注ぎ、また大地を潤し生物を育みながら琵琶湖へと向かいます。
山から里への遠い旅路がフィルターの役目をし綺麗な水となり琵琶湖のさざ波となるのです。
竹は堤防に植えられ強い護岸となり洪水を防ぎました。竹材を私たちは利用して生きてきました。
平安時代前期に成立した現存する日本最古の物語とされている『竹取物語』は日本人と竹との関わりを伝えます。
野洲市の杉田静山(じょうざん)さん(1932~2017年、滋賀県無形文化財保持者)は日本を代表する竹工芸作家で竹のしなやかさを生かし高度な技巧を用いながら暖かみのある優美な造形を生み出しました。その作品の始まりは野洲川の竹を使った竹細工との出会いでした。その作品は滋賀県立美術館に収蔵されています。
私たちは春の筍や七夕、家や塀、花器、扇骨、尺八、笛など楽器でも馴染みが深い竹と暮らしてきました。
今回は、「お正月を彩る門松に使う門飾りを作りませんか」と、中谷貴美代さんにお声がけいただきました。中谷さんは滋賀県営都市公園湖岸緑地中主吉川公園で入江清次さん(造園土木施工管理技士)と一緒に竹林整備門松ワークショップを開催しておられます(使用には許可が必要です)。
長く竹林の整備と交流に携わっておられる方とアウトドア大好きなご家族たちに混じって「門松」を作りました。竹林に響く子供達の歓声がよいBGMでした。
滋賀県営都市公園湖岸緑地中主吉川公園(旧野洲川北流跡)で門松作りWSです。竹林整備の一環でした。近くの庭師さん入江清次さんが用意してくださった南天や松で思い思いに作りました。持ち物は竹用ノコギリ、防寒具、軍手、駐車場集合です。
まずは、竹を切出します。ノコギリで根本を切っていくと意外に簡単、長さ4メートルはあろうかという竹です。「この時期(12月)になっても真竹の水分は多いですね」と参加者さん。入江さんは「ゆるく厳しく指導しています。幼い頃の経験が必要です。私が小さい頃は父親について、みよう見真似で、怪我をしながら竹の扱いを覚えました。こうしなければいけないという決まりはないので、自由な発想で作ることの楽しさを覚えてもらいたいです」と入江さん。県民講座で竹のおもちゃなどを指導されています。
「どんな門松にする?」「私、かぐや姫が生まれた形にする」「いいねえ」「ボク、笑ってる竹つくる」「私は横の形にしようかな?」「菰(こも)巻きたい」竹に触れながら情報交換。大人も子どもも真剣です。
「まずは、枝を取ろうか」と入江さん。竹を抱えて枝の付け根にある節をノコギリでささっと滑らせるとポロんと枝が外れます。「私する」「ぼくも」力の入れ加減や角度工夫しながら処理できました。
「では、好きな長さで切っていこう」入江さんの一言でみんなは竹をガリガリと切っていきます。まっすぐ切ったり、「斜めに切りたい」と苦心したり、意外と簡単に切れるのでノコギリの音が竹林に響いています。縦型の竹は硅砂を入れて松や南天を飾ります。菰を巻きつけてグッと縛るとボリュームアップ。横向きの竹は、切り込みを2箇所に入れて肥後の守(ひごのかみ:小刀)の刃を当ててポンと破ります。硅砂を入れて思い思いに彩ります。細い竹の節を斜めに切って「笑ってる」表情を作ることが今回の発見でした。意外と難しくて、失敗してもやり直せばいいのでみんなは真剣。いつの間にか、ポンポンポンとリズムが聞こえてきます。子どもたちの即興音楽会です。竹林は楽しいね。フワフワの地面に柔らかな笑い顔。集合写真はいい表情でした。「みんなで元気に遊ぼうね」。
※このワークショップは滋賀県営都市公園湖岸緑地の公園内行為許可申請書を提出して実施されました。
https://www.seibu-la.co.jp/park/kogan/
#コミュニテイアーキテクト辻村琴美
#滋賀のカメラマン辻村耕司
1956年大阪市生まれ。野洲市在住。(特非)コミュニテイ・アーキテクト近江環人ネットワーク理事長。
写真家の辻村耕司の妻。職業は編集者。一男一女を授かり夫の実家旧中主(ちゅうず)町にて三世代同居。
環境倫理雑誌M・O・Hもう通信編集長を務めた。好きな言葉は「信頼と優愛」。目標は“びわ湖から世界に羽ばたくバタフライエフェクト”を創ること。
1957年滋賀県生まれ、日本写真家協会(JPS)会員。
大学から大阪で暮らし1990年にUターン。
1993年から写真撮影を生業とする、滋賀を旅する写真家。