【しがライターReport】Stop food loss 先人に学ぶ食し方

2023-1-16
海と日本PROJECT  in 滋賀県

令和5(2023)年の幕開けです。今年こそ世界に平和が取り戻せますように。使い捨て文化と近代化促進による自然環境悪化を防ぐことと同じくらい大事なことです。悲しみが先行する時代は終わりにしたいものです。
今回は、海の幸をいただきながら先人の食し方に想いを馳せましょう。世界を変えることはできませんが、せめて海の幸をいただくことで幸せを感じることができるひとときに感謝したい。万物とあらゆる人にありがとうを届けましょう。それがStop  food lossにつながるかもしれません。

 

年の初めを寿(ことほ)ぐのはやっぱりタイ。

  1. タイの姿造り

魚介類の中でお目出度い (おめでたい)といえばタイ!桜色の魚体に透明で肉厚の身しっかりとした顔つきとふくよかなボデイラインは日本人好み。海面から顔をのぞかせると期待感満載のお魚。
写真はタイの姿造り。尾ひれを上げて生きているような姿に仕立てています。 

 

アワビは熨斗鮑(のしあわび)として贈り物になっていた

  1. アワビのクリーム煮

古代からアワビは食されていました。栄養価が高く滋味がある貴重な食料だったのです。また乾燥し細長く伸ばし(伸し→熨斗のし)熨斗鮑として貢ぎ物とされました。
美味で長寿なアワビはお祝いとして重宝されました。祝う気持ちを包んで表したのです。これが現在も風習として残っています。金封の右上に描かれている印です。
クリーム煮で味わうとアワビの食感と海の旨味がすっきりと味わえます。

 

フカ、ワニ=サメ(鮫)

  1. フカヒレのあんかけ

海のギャングといわれるサメは古くはワニと呼ばれていました。因幡の白兎がその背に乗り海を渡ったのはワニ=サメでした。
サメは古くから皮と身が活用されました。鮫皮の細かく鋭い突起が根野菜を擦りおろす、おろし金として利用されました。
豊富な身は練り物の原料になりました。板に乗せて蒸しあげた蒲鉾です。手間のかかる食材として祝いの席には必ずと言っていいほど登場します。蒲鉾に鮫皮のおろし金でワサビをすり醤油をつけると絶品です。
魚の部位で最も使いにくいのはヒレです。サメのヒレは乾燥してゆっくりと戻してじっくり炊き上げるとびっくりするくらい柔らかなゼリー状の食感になります。時間をかけて余すところなく食することから高価な食材です。
フカヒレのプルンとした味わいをあんかけにすると体も心も温まります。絶品の一皿です。

 

エビは神社のしめ飾りに使われていた

  1. エビと野菜の炊き合わせ
  2. 多賀町川相赤渕神社の注連飾り「牛の角」

私たちは赤い色の魚介類が好きですねえ。赤くて腰が曲がってもピンピンしていて身が詰まっている魚介に古来の人々は延命長寿無病息災を重ね合わせたのでしょう。
海なし県の滋賀県では、峠を越えて運ばれる海の幸を神様にささげました。神社の注連縄に海老を飾り地域の延命長寿無病息災五穀豊穣を祈願したのです。
初詣に参詣する人々は新鮮な神饌の恩恵に預かって福々しく帰宅しました。
エビは野菜の旨味を引き出してくれます。見た目が鮮やかな姿に食欲が増進します。生でもよし焼いてもよし煮てもよし揚げてもよし蒸してもよし。万能な食材で子どもにも大人気。最近は養殖が盛んで山でも捕れる食材として注目を浴びています。

万物と関わる人々に感謝を込めて余すことなくごちそうさまでした。
今年は節度を持った食生活で食材を無駄にせず育む気持ちを具体化しようっと。
まずは、何から始めましょうか?

 

レポーター紹介

文/辻村琴美・文化コーディネーター
1956年大阪市生まれ。野洲市在住。(特非)コミュニテイ・アーキテクト近江環人ネットワーク理事長。
写真家の辻村耕司の妻。職業は編集者。一男一女を授かり夫の実家旧中主(ちゅうず)町にて三世代同居。
環境倫理雑誌M・O・Hもう通信編集長を務めた。好きな言葉は「信頼と優愛」。
写真/辻村耕司
1957年滋賀県生まれ。野洲市在住(公益財団法人)日本写真家協会(JPS)会員。
1990年に滋賀にUターン後『湖国再発見』をテーマに琵琶湖周辺の風景や祭礼などを撮影。
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