「食卓から未来のうみを守り隊2~お寿司で海を考える~」2日目

2022-8-5
海と日本PROJECT  in 滋賀県

「食卓から未来のうみを守り隊」サポートリーダーの東美希です。
7月22日(金)「食卓から未来のうみを守り隊2~お寿司で海を考える~」の2日目が開催されました。
このイベントは、海の無い滋賀県の人々が、海を身近に感じ、海の恩恵を受けていると最も実感できる「食卓」から思いをはせて、3日間の調査で「未来のうみを守るために」自分たちにできることを考える環境学習イベントです。
2日目は滋賀県を飛び出し、琵琶湖の水が流れ込む大阪湾で調査しました!

 

大阪湾の生き物と温暖化の影響について学ぶ 

最初に、岸和田漁港を訪ねました。大阪府沿岸のほぼ真ん中あたりに位置する岸和田漁港は、大阪府下1~2位の水揚げ量を誇り、たくさんの種類の魚介類が水揚げされます。

まずは、今日の調査をサポートいただく大阪市立自然史博物館友の会会長の鍋島靖信(なべしま・やすのぶ)さんと一緒に漁港を散策しました。
子ども達からは「潮のにおいがする」といった感想が聞かれ、においの元は、海中の植物プランクトンがつくり出し、空に上がって雨の核になる物質だと教えてもらいました。

鍋島さんが手に持っているのはアナゴを獲るための「篭網」(かごあみ)です。アナゴは夜行性で、夜に漁をします。岸和田漁港には多数のアナゴ漁の漁船があり、最盛期には1晩に1隻が300籠を仕掛けてアナゴを取っていたそうです。
お寿司のネタとしても人気のアナゴですが、20年前までは毎年およそ700トンとれていましたが、捕獲量は年々減少し、現在ではおよそ20トンと、35分の1にまで激減してしまいました。
守り隊たちは、「温暖化」によって海水温が上昇し、アナゴやイカナゴなどの冷水性魚がとれにくくなっていることや、逆に暖水性魚のハモやクマエビがたくさんとれるようになってきたことなどを学びました。さらに、イタチザメやヒョウモンダコなど、大阪湾では見られなかった危険な生物も発見されるようになってきているそうです。

 

底びき網漁でとれた生き物を観察!

  1. テンジクダイ

いよいよ「生き物観察」です。
岸和田市漁業協同組合 組合長 音揃政啓(おんぞろ・まさひろ)さんにもご協力いただき、底びき網漁でとれた生き物を観察しました。大阪湾では板びき網と石げた網の2種類の底びき網漁業が行われており、日の出前に出港し、セリに合わせて帰港します。

琵琶湖では見られない生き物がたくさんいて子どもたちは興味津々で、鍋島さんと音揃さんに生き物の名前や特徴などたくさん質問していました。
鍋島さんが手に持っているのは「テンジクダイ」です。オスが口内でメスの卵を保育し、卵がふ化するまで餌を食べずに過ごします。そのため、時には間違えて食べてしまうこともあるそうです。
他にも、お寿司のネタにもなる「シャコ」や「アカガイ」「トリガイ」などの貝類、「ガザミ」などのワタリガニ、かっぱえびせんの材料に使われている「アカエビ」、個性的な見た目で牛の舌と呼ばれる「アカシタビラメ」、サンゴやイソギンチャクの仲間で、夜に多数の花が咲いたこん棒のように伸び、全長40cmにもなる「ウミサボテン」などたくさんの種類の生き物を観察することができました。

琵琶湖の水が瀬田川、宇治川、淀川を通って、栄養が大阪湾に流れ出し、このようにたくさんの生き物を育んでいることを知りました。
最後に鍋島さんから子どもたちに「豊かな海を守るためにできるために何をすればいいのかを考え、関心を持って行動してほしい」という熱いメッセージが伝えられました。

 

持続可能な漁業の取り組みについて

続いて、漁師の音揃さんから大阪湾の持続可能な漁業の取り組みについて学びました。
音揃さんは季節により底びき網と船びき網をし、船曳網ではシラス漁をされています。大阪湾のシラス漁は、複数の漁協が協力しながらみんなでルールを守り、とりすぎない工夫をされています。漁に出るのは週4日にし、漁の時間も制限をし、天候の悪い日は休みを取るようにしているそうです。また、大阪水産技術センターが、大阪湾の20ヵ所で、鰯(シラスの親)の産卵状況を確認しており、それらのデータをもとに科学的に見極めながら資源管理を行っています。
このような取組が評価され、2020年にマリン・エコラベル・ジャパンという漁業認証を取得されました。マリン・エコラベルとは、水産資源の持続的利用、環境や生態系の保全に配慮した管理を積極的に行っている漁業・養殖の生産者と、そのような生産者からの水産物を加工・流通している事業者を認証する水産エコラベルです。このような認証を取得しようと思われたきっかけは、東京オリンピックや大阪万博で世界中の人達が日本に来るので、安心・安全でおいしい大阪湾の魚介類をRPできるチャンスだと思ったからだそうです。

音揃さんは他にも、2001年から「漁民の森づくり」という森を守る活動もはじめられました。竹林を伐採し、広葉樹を植えられています。広葉樹の落ち葉は腐葉土となり、栄養豊富な水が海に流れ出ます。豊かな大阪湾を未来に引き継ぐために、源となる水源の森をきれいに保つ活動もされているんです。

最後に音揃さんから「琵琶湖の水をきれいに保つことで大阪湾の水や生き物を守ることにつながっているということ。川や山にごみを捨てないなど身近にできる取り組みを少しずつ大切にし、周りの人に伝えてあげてほしい」と熱いメッセージが伝えられました。

 

競りと青空市場を見学!

午後からは、泉佐野漁港へ移動し、セリ見学をしました。
セリ場に運ばれてきた魚は種類や大きさによって選別され、かごに入れられます。鮮度を保つために、定期的に水がかけられていました。
たくさんの買い手がセリ台に並び、振鈴を合図に14時からセリが始まりました。卸売業者のセリ人の呼びかけに応じて、買い手が指で値段や数量を示す「手やり」で一番高い値段をつけた人が買うことができます。次々とかごが流され、あっという間にセリ落とされていきます。みなさん真剣勝負です。

セリを見学して、子供達からは「あっという間だった」「高い買い物なので、鮮度の良い魚を見極めて買うことが大事だと思った」などの感想が聞かれました。

セリが終わり、すぐ横にある青空市場に向かいました。
青空市場では、セリでおとされたばかりの、その日に水揚げされた新鮮な魚介も販売されています。沢山の種類の魚介を目にし、食いつくように見ていました。
守り隊たちは、海でとれた魚がどのようにして食卓に並ぶのかを学び、海を身近に感じることができたのではないでしょうか。

次回、8月3日の最終日は3日間学んだことを踏まえて、「滋賀と海のつながりを感じる」オリジナルメニューを考えます!果たしてどんなオリジナルメニューが出来上がるのかとても楽しみです!

「食卓から未来のうみを守り隊2」2日目の様子は、8月10日(水) 夕方5時55分~の5分間、びわ湖放送でご紹介します。是非ご覧ください。

<1日目の活動の様子はこちら>

 

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